特定の企業や業界依存体質からの脱却を支援する

「町工場」と呼ばれる中小製造業は、20年,30年と特定の企業・特定の業界への依存体質が長く続いたため、商社や小売業と比べると新規顧客を開拓する営業力が弱い傾向があります。その依存体質から脱却しなければいけない、と経営者に意識変革が起きたきっかけは、2008年のリーマンショックだと考えています。

当社は2007年に創業し、翌年にリーマンショックが起こったのですが、当初、財務コンサルティングでお取引のあった中小製造業の経営者から、「今の3社しかないお客様ではこれから先、売上がどんどん下がってジリ貧になってしまう。だから新規顧客を開拓したい。しかし、今まで飛び込み訪問を行ってみたものの、門前払いされた経験しかないので、どうやって新規顧客を開拓したら良いかわからない。ウチの工場までお客様が足を運んで設備を見てもらえれば、いろんな話もできるし、そこまでたどり着けたら、あとはなんとか出来る。だから、岸野さん、新しいお客様と話が出来るようにしてくれないか。」と言われたのです。

私は当初「自分は文系出身だし、銀行員の時は新規開拓をやってきたものの、技術のことはわからない。無理ですよ。」とお断りしかけたのですが、もう一度考え直して「お客様に迷惑をかけたくないから、普段は80%以上結果が出せると判断した場合しか仕事をお受けしないようにしてますし、今回の製造業の新規開拓は自信を持って結果を出せるとは言い切れませんよ。それでも良ければ最善を尽くすのでやらせてください。」と返事をしたのです。

すると経営者から「よくわかった。お互い初めてのことだから、結果はどうなるかわからないが、岸野さんの思うやり方でやってみてくれ。」と言われ、製造業の新規顧客開拓が始まったのです。手探り状態で新規開拓が続く日々。結果は新規の受注がまったく取れず、毎月坊主。(営業で坊主とは、毛がない=何にもない)とはいえ、新しいお客様との商談のアポイントは結構な件数が獲得できていたのです。おそらく新たなお客様もリーマンショックで自分の会社も暇だったのでしょう。そして開始して7ヶ月目のある日、経営者から、「こないだ商談をセッティングしてくれた新規のお客様から受注来たよ!」と連絡をいただきました。よくぞ7ヶ月も辛抱してくれたものだと感謝の気持ちが沸き起こるともに、未知のものに挑戦することの大切さに気づけたのです。

それからは、今まで商談のアポイントが獲れて訪問していたお客様から、毎月のように新規のお客様が獲得できたとの報告を受けることができ、気付けば1年で10社の新規開拓に繋がっていました。

この実績があれば、他の中小製造業で新規顧客開拓で同じように困っている会社にも喜ばれるはずだと考え、今のサービスを開始したのです。

*中小製造業専門にこだわる理由 

技術力というカタチがないものを売るので、営業が難しい?

製造業の新規開拓といっても、非常に細分化された業界であるが故に、1社1社ごとに強みや技術力を把握することが求められます。

政府の統計データで業種を分類する「日本標準産業分類」では、農業、漁業、建設業や情報通信業、サービス業など日本の全産業を大きく分類(大分類)したものが20業界あり、製造業もその大分類の1つです。大分類20業界をさらに中分類、小分類、さらに細かく分類したものを細分類と呼びますが、当然のことながら数字はさらに増え、その合計は1,269種あります。そのうち製造業はいくつあると思われますか?

答えは、547業種です。実に日本の全産業の43.1%を製造業が占めているとも言えます。

製造業はそれほど細かく分かれている業界であり、尚且つ、カタチのある商品を売る一般的な営業と違い、「技術力」というカタチの無いものを売る営業になります。

では、製造業の新規開拓は、どうすれば成功するのでしょうか。

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